| おはようございます。 株探編集部です。 今週は東日本で地震や津波に怯える日が続きました。メルマガ執筆中の12日(金)の夕方には、都内でも少々不気味な揺れに見舞われました。 一方、今週の日米の株式市場は比較的、平穏な状況でした。日経平均株価や日経平均との連動性が注目されている米ナスダック総合株価指数は、前週比で横ばいに近い緩やかな上昇となっています。 その要因の1つはFOMC(米連邦公開市場委員会)で、想定通り0.25%の利下げが決定されたこと。 会合後に行われた会見で、ジェローム・パウエルFRB議長が今後の利上げの可能性を示さなかった点が安心材料となったようです。 ただ、10日夕方(現地時間)に発表されたオラクル<ORCL>の9~11月期(第2四半期)決算は、同社株に揺れを引き起こしました。 クラウド関連の売上高が市場予想を下回ったことが嫌気され、11日には前日比で10%以上の下落となりました。そこには、AIバブルの崩壊を恐れる市場心理が見て取れます。 はたしてオラクルの決算内容と株価の動きは、AI相場を牽引してきたエヌビディア<NVDA>にどのような影響を与えるのか。 未来のことを正確に読むことは誰もできませんが、過去の動きからなんらかの示唆を得られるかもしれません。 その参考となる資料が「マグニフィセント7:持続不可能な成長とシステミックリスク」というタイトルの論文です。著者はフィンランド・ヴァーサ大学の研究者です。 論文の中では「有限時間特異点」と「LPPLSモデル」という、庶民には耳慣れない言葉が登場します。 2つの用語の意味を論文の主旨から解説すると、最初の「有限時間特異点」とはバブル崩壊の臨界点のこと。 指数関数的な成長を超える状況となると持続可能な成長は不可能になる、つまりバブルが崩壊することになります。 もう1つの「LPPLSモデル」は、いつバブルが崩壊するかを予知する計算式です。 研究では、マグニフィセント7の株価を16年5月半ば~25年1月半ばまで分析。その動きを先のモデルと統計的な検証によって、7社の株価がいつバブル崩壊するのかを予想しています。 分析の結果、バブル崩壊が来ると判定されたのは4社で、アルファベット<GOOGL>、アマゾン<AMZN>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>でした。 つまり、エヌビディア<NVDA>は計測期間の株価の動きからは、バブル崩壊の対象外だったのです。 ただし、その後にトランプ関税ショックでエヌビディアをはじめ、マグニフィセント7株は軒並み下落しています。 ですが、論文の主旨を踏まえると、このときのエヌビディア株はバブル崩壊ではなく連れ安に見舞われたことになります。 話を直近のオラクルの決算に戻すと、クラウド関連の売上高が予想未達となったのには、データーセンターの需要が高まる中で、運営に必要な電力とエヌビディアのGPU(画像処理半導体)の供給が逼迫し、供給が追いつかなかった影響があります。 需要が供給を上回っている状況を踏まえると、昨今のAIに関する成長の限界点(特異点)に対する懸念は、まだ深刻なものではない可能性もあります。 |
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